flier_logo
ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから
悪魔のサイクル(2013年新装版) の表紙

悪魔のサイクル(2013年新装版)

日本人のよりかかり的思考


本書の要点

  • 日本人に蔓延している「よりかかり」思考(自分で考えることなく、周りと同化することを善しとする考え)は、幼少期から醸成され、社会人になる頃には行動規範として組み込まれてしまう。

  • 共属的な「よりかかり」思考は、理屈が通らないことを生じさせ、しかもそのことに対して疑問を感じなくなってしまい、問題が放置されたままになるという「悪魔のサイクル」を生み出す。

  • 閉じた「悪魔のサイクル」を打ち破るのは非常に困難だが、安易な技術提携に頼らずに、自社エンジニアによる技術開発を推進することは、このサイクルを断ち切るきっかけになるかもしれない。

1 / 3

悪魔のサイクル

日本人の共属心理

大前研一氏は、世界的に有名な経営コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニーで日本社長、本社ディレクター、アジア太平洋地区会長などを務めたが、その前には日立製作所で原子炉の設計に関わる仕事をしていた。当時、大前氏は周囲の人間の行動に困惑し、不満を感じていたという。そして数年間を経て、不満の根源にあったのは日本人の「よりかかり」の思想だということが明らかになる。

このことに気づいたのは大前氏が入寮していた独身寮の寮規則がきっかけだった。そこには事細かに「暖房使用規則」が書かれていた。「倒れても安全な石油ストーブ」を販売し、「スイッチを止め忘れても、高温になると自動的に止まる電器ストーブ」を宣伝している企業が、こともあろうか自社員に対して火災上の理由からそれらの器具の使用を禁じていたのである。

規則自体も理解しがたいのだが、「この程度の規則ならどこにでもある」「(こんな規則を)守っているバカはいないだろう」とすましてしまう周りの従業員も問題であった。理屈で説明のつかないことに対して疑問に思うことなく、疑問を感じたとしても「不思議に思う自分の精神のほうがおかしいのかも」という気分にかられてしまっているのである。

以降、大前氏はこの現象を「悪魔のサイクル」と名付けるとともに、日本人の共属心理に依拠した「よりかかり」の性格の解明に着手することになった。

2 / 3

「よりかかり」の人生

幼少期から始まる「よりかかり」

oksun70/iStock/Thinkstock

日本人の「よりかかり」思想は、成長の過程においてどのように形成されるのだろうか。

赤ん坊に添い寝することは子育てにおいてよく見られる光景だが、実はこの添い寝からすでに「よりかかり」が始まっている。突然泣き始めた赤ん坊のために添い寝してあげているつもりの親が、「泣けば添い寝してくれる」と打算的に考えている赤ん坊に馴らされてしまっているのだ。スキンシップそのものが悪いわけではないが、過度なスキンシップは幼少期の原始感覚を失わせ、精神的な「よりかかり」からなる連帯感をいたずらに促進させてしまう。「悪魔のサイクル」はたった一歳の頃から日本人のなかに植え付けられているのである。

また、子供が小学校に上がるまでの6年間、大人は自分たちを犠牲にして子供中心の家庭生活を送り、幼稚園の時分から子供に楽器を習わせたりしている。こうした早期教育は一見、芸術領域での有能な新人を生み出すことに繋がっているように見えるかもしれない。

しかしながら、エゴイズムと愛情を錯覚したこれらの行動は結果的に子供の感受性を奪ってしまっていることに大人たちは早く気付くべきだ。日本の若き音楽家が結局大成できないのは、こういった大人たちの共属感情に基づく行動にあるのではないか。

小学生~大学時代の「よりかかり」

小学校の時代はもっとも日本人の画一性を潜在的に促進する時期である。「前へ倣え」という号令で一直線に並ぶ児童たち。もしこれに従わなければ担任の先生から怒られるか、仲間から爪弾きにあってしまう。十歳前後は自我の形成期であるにもかかわらず、この時期に子供たちは自己埋没を強いられている。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2232/3526文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2014.05.13
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

プア充
プア充
島田裕巳
伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力
伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力
橋本武
未来を切り拓くための5ステップ
未来を切り拓くための5ステップ
加藤崇
滅亡へのカウントダウン
滅亡へのカウントダウン
鬼澤忍(訳)アランワイズマン
ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国
ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国
谷島宣之
自分の体で実験したい
自分の体で実験したい
レスリー・デンディメル・ボーリング梶山あゆみ(訳)
未来への6つの約束
未来への6つの約束
日本大学N.研究プロジェクト(編)
シグナル&ノイズ
シグナル&ノイズ
ネイト・シルバー西内啓(解説)川添節子(訳)

同じカテゴリーの要約

世界の一流は「平日」の夜に何をしているのか
世界の一流は「平日」の夜に何をしているのか
越川慎司
科学が解明した 悩んでもしょうがないことリスト
科学が解明した 悩んでもしょうがないことリスト
石川幹人
会社でいちいち傷つかない 
会社でいちいち傷つかない 
中島美鈴
自己啓発本を1000冊読んでわかったこと
自己啓発本を1000冊読んでわかったこと
尾崎俊介
いつも機嫌のいい人が考えていること
いつも機嫌のいい人が考えていること
和田博信
「誘える人」がぜんぶ手に入れる
「誘える人」がぜんぶ手に入れる
五百田達成
人生をシンプルにする考え方
人生をシンプルにする考え方
有川真由美
距離感大全 “⁠迷いをなくす”コミュニケーション術
距離感大全 “⁠迷いをなくす”コミュニケーション術
中島健寿
自分のことしか考えられない人
自分のことしか考えられない人
加藤諦三
積読こそが完全な読書術である
積読こそが完全な読書術である
永田希

フライヤーは、著者・出版社の許諾を得たうえで要約を掲載しております。また、選書委員会を設けて今読むべき本を厳選し、ライターが要約を作成しております。詳しくはコンテンツポリシーをご確認ください。