日本における自己啓発本の来歴
自己啓発本をめぐる「愛憎劇」
本書は自己啓発本という文学ジャンルを起点にして、その成り立ちや形態、日米における共通点と相違点などを論じたものである。
自己啓発本の定義は、「不幸な現状を打破し、現世的幸福を獲得するためのノウハウを指南する本」というものだ。自己啓発本は数多ある文学ジャンルの中でも「売れ筋」であり、近年では『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵)や、『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健)といったヒット作がある。
一方で、自己啓発本には「うさんくさい」といった批判や反感も根強くある。自己啓発本には愛好者が多くいる反面、嫌いな人も大勢いるという、奇妙な「愛憎劇」が見られる。
海外思想と自己啓発本

日本における自己啓発本の歴史は、海外から入ってきた思想と結びついてきた。
最初にやってきたのは「儒教」だ。儒教の生みの親である孔子の教えは、「いい王様になるための倫理的方法の指南」である。その意味で孔子は「究極の立身出世法」を教えようとしていたことになる。儒教の「自己修養」や「徳の涵養(かんよう)」を重視する点、能力による昇進を推す点などは、近代の自己啓発の考え方とも共通する。




















