為替介入とは
生活に関わる円安、円高
2020年以降、私たちの生活に大きな影響を与えているもののひとつに、大幅な円安がある。スマートフォンが高くなり、海外旅行の値段は跳ね上がった。こうした円安の中でしばしば話題になるのが為替介入だ。
為替介入を行っているのは財務省で、円安や円高が行き過ぎていると考えられるときにその調整をするための、為替市場を誘導する行為である。日本政府は90年代に進んだ円高の際、円売りの為替介入を繰り返し、その結果、財務省の保有している外貨建て資産は、2026年5月時点で200兆円規模にのぼった。こうした為替介入で得た資金は、外国為替資金特別会計(外為特会)という会計で管理されている。
財務省は巨額な外貨資産を保有している。ここまではいいのだが、その内実について理解しやすい解説はなされていない。そもそも多くの人にとって政府の予算や会計にはなじみが薄く、外為特会は市場への影響を考慮して、情報の開示が限られている。
本書は、こうした日本の政策に大きく関係する為替介入について知り、外為特会の仕組みを明らかにする。
為替レートを誘導する

為替レートとは、「異なる通貨同士を交換するときの交換比率」を指す。ある日、読者が米国に旅行しようとしたとき、旅先で使う通貨は当然ドルだ。なので、外貨を扱っている銀行に足を運び、150円で1ドルを手にする。これが「1ドル150円の世界」である。
ただし、為替レートはつねに変化している。たとえば1ドルが200円になったとしよう。それだけ、円を多く払わないと1ドルを買えない。このように相対的に円の購買力が下がった状態を「円安」という。逆に、これが1ドル100円になると、たったの100円で1ドルが買えてしまう。このように円の購買力が上がった状態を「円高」という。
近年は特に円安がすすみ、海外から輸入するモノ、海外旅行でのホテルの料金などは高くなっている。逆に日本への旅行は安くなり、インバウンド客が増加している。2022年以降、そうした円安に対処するべく、財務省は複数回、為替介入を実施した。その意思決定者は財務大臣だ。
では、一体どうすれば、為替レートを思った方向に動かせるのだろうか。




















