創造的破壊
3つのアイデア

新たなイノベーションが生まれることで既存技術はどんどん時代遅れになっていく。そして新たな企業が既存企業と競争し、雇用と事業が創出されてそれまでの雇用と事業に置き換わっていく。こうしたプロセスが創造的破壊だ。
創造的破壊は資本主義の原動力である。再生の源泉になるが、それと同時にリスクと混乱をもたらす。だから適切な規制や指導のあり方を学ばなくてはならない。
本書の目的は大きく分けて3つ。第一に世界の経済成長の歴史にまつわる謎を解き明かすこと。第二に先進国におけるイノベーションと経済成長についてその課題を論じること。そして第三は政府と市民社会の役割を改めて考え直すことだ。
創造的破壊の成長モデルは、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが提唱した次の3つのアイデアから着想を得ている。
一つ目はイノベーションと知識の普及が成長プロセスを支えるということだ。イノベーションの担い手はそれまで蓄積された知識を活用する。いわゆる「巨人の肩の上に乗って」イノベーションを実現させる。知識の普及と体系化がイノベーションの原動力となるのだ。
二つ目は、イノベーションの創出にはインセンティブと知的財産権の保護が欠かせないということだ。知的財産権の保護は利益の確保を可能にする。知的財産権の保護にはイノベーション投資を促す効果があるのだ。制度や政治に大きく影響され、その意味でイノベーションは社会的なプロセスだ。
三つ目は創造的破壊である。新たなイノベーションは既存のイノベーションを陳腐化してしまう。そして既存の大企業は新たなる参入を阻止するか、せめて遅らせようと奔走する。イノベーションに報い、イノベーションの意欲を高めるには超過利潤がなければならない。そしてその超過利潤が将来のイノベーションを阻害するために使われてはいけない。
シュンペーターは資本主義の未来について悲観的だ。既存企業はイノベーションを阻み、やがてそれは停滞を生むからだ。しかし、本書は資本主義は適切に規制し、このジレンマを乗り越えられると考える。「資本主義を資本主義者から救う」ことはきっとできるはずなのである。
【必読ポイント!】 イノベーション
イノベーションはどこから生まれるのか

研究開発に投資をすれば一定の確率でイノベーションが生まれ、産業に活用される、というイメージを持っている人は多いかもしれない。しかしながら、その実態は少々複雑である。




















