言葉にならない気持ち日記
言葉にならない気持ち日記
言葉にならない気持ち日記
出版社
サンクチュアリ出版

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出版日
2025年05月02日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

言葉になることで、こんなにもスッキリするものなのか――。これが本書を読んだ最初の感想である。

「ふたりで会う予定だったのに、知らない人がいる」「返信が来ないメールの文面を、何度も読み返してしまう」「推しの知名度が上がりすぎてしんどい」――。本書では、そんな言葉にならないけどたしかに存在する、118の状況と気持ちがずらりと並ぶ。

著者は『「言葉にできる」は武器になる。』などの著書を持つ、コピーライターの梅田悟司さんだ。「バイトするなら、タウンワーク。」「世界は誰かの仕事でできている。」といった数々の名コピーを生み出してきた言葉のプロが、今回はじめて「日常のもやもや」の言語化に乗り出した。

私たちの毎日は“もやもや”の連続だ。一瞬の違和感やいらだち、落胆、ジェラシー。それらは瞬間的に顔を出し、すぐにどこかへ流れてしまう。しかし、言葉にするまでもない、いや、言葉にすることをためらってしまうような些細な感情は、実はあなたの本心ではないだろうか。著者は、そんな小さくも大切な感情を丁寧にすくい上げ、一つひとつに言葉をあてがっていった。

空をつかむような感情に「言葉」という形を与えることで、人ははじめて「見えない敵」と向かい合えるようになる。本書を読んでスッキリするのは、そのせいなのかもしれない。

118のトピックは、どれから読んでもおもしろい。気になるタイトルのページを開くもよし、最初からじっくり読むのもよし。思い思いに楽しんでいただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

梅田悟司(うめだ さとし)
コピーライター
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授
ワークワンダース株式会社 取締役CPO

1979年生まれ。博士(学術)。東京科学大学環境・社会理工学院博士後期課程修了。レコード会社を起業後、電通入社。ベンチャーキャピタル(VC)でベンチャー支援に従事した後、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の開設に伴い、教授就任。現在は、生成AIによる生産性向上を支援するワークワンダースの取締役として、コピーライティングの技術を発展させプロンプト開発を行う。

コピーライターとしての主な仕事に、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などがある。直近では、日曜劇場『VIVANT』にコミュニケーション・ディレクターとして携わった。

著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版)。同書は、高等学校における国語教科書『新編現代の国語』(大修館書店)に掲載された。また、4カ月半におよぶ育児休暇を取得し、その経験を踏まえた『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)を執筆し、名もなき家事ブームの火つけ役となった。発行累計部数50万部超。

今日も言葉にならない気持ちを抱えながら、ひたすらにキーボードを叩く日々をすごしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書は、日常における「もやもやした気持ち」を言語化した一冊だ。形のない感情に言葉を与えることで、心のもやもやを整理することができる。
  • 要点
    2
    クローゼットにはたくさん服があるのに、なぜか着たい服がない。
  • 要点
    3
    体調不良で仕事を休んだ時、業務は滞りなく進んでいた。ありがたいことだが、少しさみしい気持ちにもなる。
  • 要点
    4
    相手からメールの返信がないと、不安になって送信済みのメールを何度も読み返してしまう。

要約

生活・友人編

こんなに服があるのに、着たい服がない。

クローゼットを開けると、色とりどりの服が並んでいる。まるで小さなブティックだ。お気に入りのシャツ、旅行で買った小物たち。その一つひとつが、私の選択の軌跡である。

それなのに、「着たい服がない」。こんなにたくさんあるのに、どれもいまの気分に合わないのだ。なぜ、こんなことが起きるのか。

あんなに悩んで買ったのに、買った時の高揚感は戻ってこない。あの出費はなんだったのだろうか……。こんなにも買ってしまった、過去の買い物を反省する。

それでも、好きな服を着るとうれしくなって、がんばろうという気持ちになるのは真実だ。きっとこの途方に暮れる気持ちも、反省する気持ちも、大事な自分の一部なのだろう。

ふたりで会う予定だったのに、知らない人がいる。
Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

待ち合わせの場所で人を待つ。どんな話をしようか、どこに行こうか。ワクワクしながら相手を待つ。

来た! だけど、まだこちらに気づいていない。手を振ったら気づいたようで、手を振り返してくれた。でもその隣には……見知らぬ誰かがいる!

ふたりで会う約束だったのに。ふたりでしか話せないことを話したかったのに。あなた誰? ふたりだけの時間を返してよ!

「ごめん、友達も来ることになったんだ。気が合うと思って」

期待でふくらんだ気持ちが、一瞬でしぼんでいく。心の中では「なんで言ってくれなかったの?」と黒い感情が渦巻いているのに、無理やり笑顔を作ってしまう。

よき出会いになると思って、親切心から誘ったのかもしれない。でも、ふたりで会う時間は特別なのだ。ふたりだからこそ醸し出される空気感、親密さや自由さ。それは誰かが入ることで、急に色あせてしまう。そんな「裏切られた感」を、一方的に抱いてしまうのだ。

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要約公開日 2025.06.06
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