母語は幼少期に自然と身につき、誰もがごく普通に日常会話をこなせるようになる。一方で、日本人にとっての英語のような第二言語は、習得の度合いに個人差が出やすい。母語ではない第二言語をどのように習得するかを扱う分野は、学問的には「第二言語習得論」と呼ばれる。では、第二言語習得論的な観点から正しい英語の学び方とは、どのようなものなのだろうか。
そもそも英語を使いこなせるというのはどういう状態かを考えてみよう。「英語が使いこなせる」とは、頭の中で単語や文法が学んだ順に整理されていることではなく、さまざまな要素が絡み合いながら、脳内に英語の回路がつくられている状態をいう。
このような「英語の頭」をつくるには、脳内で英語を日本語に置き換えるのではなく、英語を英語のまま理解する回路が必要だ。このプロセスに重要な回路を「じぶん英語」と呼ぶことにしよう。
これは「中間言語」と呼ばれる、第二言語習得論で多くの理論や実践のベースとなっているキーワードを言い換えたものだ。中間言語とは、第二言語を習得する過程で、試行錯誤を通じて獲得する独自の言語体系を指す。
私たちの脳内には、すでに日本語の回路ができあがっている。この回路を無理に英語に置き換えるのではなく、新しい「英語の回路」をつくっていくことが重要だ。このとき「英語を英語のまま理解するための知識やルールの蓄積」が「中間言語」であり、本書でいう「じぶん英語」なのだ。
「じぶん英語」とは、あなた独自の言語のルールブックのようなものだ。「じぶん英語」にこれまで学んだ英語のルールや経験を少しずつ積み重ねていくことで、目標とする英語に近づいていくイメージだ。
母語が日本語である以上、「じぶん英語」も最初は日本語の影響を強く受ける。しかし英語のルールや語彙を身につけていくことで、英語ネイティブのレベルに徐々に近づいていく。
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