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本書の要点

  • 富士フイルムは、デジタル化による写真フィルム市場の急激な縮小という危機に際し、技術力を活かした多角化経営への事業転換を図り、成功させた。

  • 経営者は現実を直視し、時にはリストラなどの厳しい決断をしなければならない。一方で、会社の将来を支える研究開発や新規事業進出には十分な投資をすべきだ。

  • 経営者の役割は、時流を読んでやるべきことを決め、実行することだ。組織を動かすのは、使命感を持ってメンバーを率先垂範する強いリーダーシップである。

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本業消失の危機

寡占市場だった写真フィルム業界

富士フイルム(旧:富士写真フイルム)は1934年、写真フィルムの国産化を使命として創立された。同社は、創業当時から自社で技術開発を進めてきた「技術志向」の会社である。

写真フィルムの製造には精密な物質制御が必要である。戦後、写真フィルムがモノクロからカラーへと進化するなかで、多くの同業他社が技術の壁にぶつかり、撤退した。以後、写真フィルム業界は米国のイーストマン・コダック(以下コダック)、日本の富士フイルムを含む4社の寡占状態となる。

富士フイルムは、コダックとの国際競争に備えた写真フィルム商品の開発と生産合理化、コスト引き下げに力を注ぐ一方で、新規事業分野への進出にも積極的だった。同社では、著者が入社した1963年頃から、写真フィルムの技術を印刷原版、ビデオテープに横展開するなど、技術の応用による事業多角化が活発になる。社内で写真関連分野の売上が圧倒的に大きかった頃からこうした新規事業開発を進めていたことは、後の同社の飛躍に大きく貢献した。

デジタル時代到来に備えた多角化の模索

gleolite/gettyimages

1980年代に入ると、富士フイルムは高感度カラーフィルムなど、その技術力によって生み出した製品を武器に世界市場に進出した。一方、その頃写真分野ではデジタルカメラの開発が始まり、印刷分野では製版工程がデジタル化されるなど、様々な分野でデジタル化の時代が到来しつつあった。

デジタル化が進むと、技術による差別化が難しくなり、価格競争に陥る。そんなデジタル化への危機感から、当時の経営陣は3つの戦略をたてた。

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要約公開日 2023.07.20
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