一日のはじまりである朝の時間を充実させることは、「幸運を手にする準備をしているのと同じ」である。睡眠によって心身がリフレッシュされた朝は、疲労が回復し、「心が生まれ変わっている」最高のコンディションの時間だ。疲労が溜まって、体力的にも気力的にも消耗している夜だと1時間以上かかるようなことでも、朝だと10分しかかからない。これを活かすか否かで、その日だけでなく人生全体が決まるのだ。
中国古典の『大学』に、「まことに日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」という言葉がある。人は日に日に新しくなるのだから、行ないを改めてよりよい自分にしていかなくてはならない、という意味だ。したがって、毎朝新しい自分として目覚めているのだから、朝が来るごとに新たに生かされていることを身近に感じなくてはならない。
それには自然との触れ合いが欠かせないが、現代人は自然から遠ざかった生活を送っている。多くの人が冷暖房完備の環境で、四季の移ろいを実感することなく暮らしている。
朝には自然が濃く立ち込めている。少しでも自然の中に身を置くことで、「人もまた自然の一部である」という命の原点に気づける。そうしてまっさらな状態にリセットできれば、何かを引きずったままの一日とはまったく違ったものになるはずだ。
朝こそ、自分のための自由な時間がもてる大事なタイミングだ。仕事中は上司の指示に従い、プライベートでは恋人や友人などに気を使いながら過ごすこともある。本当の意味で自由な時間というのは限られるのだ。
朝は突発的なことでも起こらない限り、外部から連絡がくることはなく、どこからも邪魔が入ることはない。この貴重な時間を無為に過ごすのは惜しいと思えば、少しでも充実させようとするはずだ。30分いつもより早く毎日起きれば、1年間で180時間を活かせる。この時間で一日の仕事の流れを考えたり、準備したりすれば、自分を向上させる可能性も高まる。
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