幸運は、必ず朝に訪れる。
幸運は、必ず朝に訪れる。
自分を整える禅の教え
幸運は、必ず朝に訪れる。
出版社
出版日
2025年04月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

現代人の朝は、とにかく慌ただしい。ギリギリまで寝て、急いで身だしなみを整え、朝食も食べずに仕事に向かう。その一連の流れが日常化している人も多いだろう。かくいう要約者も、朝は少しでも長くベッドにいるほうが幸せなはずだと思っていた。しかし、そうしたバタバタとした朝は、本当はもったいないことなのだ。

本書は、曹洞宗の僧侶であり庭園デザイナーでもある枡野俊明師が、朝の時間の大切さとその活かし方について解説している。朝の時間が人生にどれほどの影響を与えるのかを存分に知らしめてくれる。特に印象的だったのは「朝の10分は夜の1時間に匹敵する」という考え方だ。これを念頭に30分早起きするだけで、心身ともに最高のコンディションとなる朝の時間を活用できる。そうした一日の積み重ねで、人生まで大きく変わっていくのだ。

また、ただ理念を説くだけでなく、心身の調え方が著者の具体的な経験から豊富に紹介されている。掃除、食事、片づけ、坐禅など、どれも30分の早起きで、誰もがすぐにでも実践できる。

本書の大きな魅力は、古来の日本文化に根づく「禅」の考え方についても学べるところにもある。「自分と向き合う」「執着から離れる」といった教えが随所にちりばめられており、朝活の範疇を超えて人生全般に活かせる知恵まで吸収できる。より本質的な、よく生きるための指針を求めている方にも、ぜひ手にとっていただきたい一冊だ。

著者

枡野俊明(ますの しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の庭の創作活動によって、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。庭園デザイナーとしての主な作品に、カナダ大使館、セルリアンタワー東急ホテル庭園など。主な著書に『禅が教えてくれる美しい人をつくる「所作」の基本』(幻冬舎)、『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく 放っておく力』(以上、三笠書房)、『おだやかに、シンプルに生きる』『禅が教える 人生の答え』(以上、PHP文庫)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    朝は心身ともに最高のコンディションでいられるタイミングであり、その貴重なタイミングをうまく活かせるかどうかで人生が変わる。
  • 要点
    2
    朝の行動は内面のみならず、外見にも大きな影響を与える。
  • 要点
    3
    掃除、坐禅、食事、散歩などに禅の考え方を取り入れ、朝の習慣とすることで、一日が充実したものになる。
  • 要点
    4
    考え方にも禅的発想を取り入れることで、マイナスをプラスに転じ、朝の清々しい気持ちのまま一日を過ごせるようになる。

要約

【必読ポイント!】 朝は人生を左右する時間

朝の10分は夜の1時間

一日のはじまりである朝の時間を充実させることは、「幸運を手にする準備をしているのと同じ」である。睡眠によって心身がリフレッシュされた朝は、疲労が回復し、「心が生まれ変わっている」最高のコンディションの時間だ。疲労が溜まって、体力的にも気力的にも消耗している夜だと1時間以上かかるようなことでも、朝だと10分しかかからない。これを活かすか否かで、その日だけでなく人生全体が決まるのだ。

中国古典の『大学』に、「まことに日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」という言葉がある。人は日に日に新しくなるのだから、行ないを改めてよりよい自分にしていかなくてはならない、という意味だ。したがって、毎朝新しい自分として目覚めているのだから、朝が来るごとに新たに生かされていることを身近に感じなくてはならない。

それには自然との触れ合いが欠かせないが、現代人は自然から遠ざかった生活を送っている。多くの人が冷暖房完備の環境で、四季の移ろいを実感することなく暮らしている。

朝には自然が濃く立ち込めている。少しでも自然の中に身を置くことで、「人もまた自然の一部である」という命の原点に気づける。そうしてまっさらな状態にリセットできれば、何かを引きずったままの一日とはまったく違ったものになるはずだ。

年間180時間の「自分時間」
show999/gettyimages

朝こそ、自分のための自由な時間がもてる大事なタイミングだ。仕事中は上司の指示に従い、プライベートでは恋人や友人などに気を使いながら過ごすこともある。本当の意味で自由な時間というのは限られるのだ。

朝は突発的なことでも起こらない限り、外部から連絡がくることはなく、どこからも邪魔が入ることはない。この貴重な時間を無為に過ごすのは惜しいと思えば、少しでも充実させようとするはずだ。30分いつもより早く毎日起きれば、1年間で180時間を活かせる。この時間で一日の仕事の流れを考えたり、準備したりすれば、自分を向上させる可能性も高まる。

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要約公開日 2025.07.15
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