flier_logo
ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから
なぜ、トヨタはテキサスに拠点を移したのか?の表紙

なぜ、トヨタはテキサスに拠点を移したのか?


本書の要点

  • テキサス州の都市ダラスを中心とする「ダラス経済圏」がいま、力強く発展している。人件費や家賃など、あらゆるものが高くなりすぎた東海岸や西海岸の都市から移転してくる企業が続出している。

  • 企業がテキサスに移転してくるのは、全米にアクセスが良い「地の利」と、州の法人税および個人所得税がゼロであるという「税制」の2点が主な理由である。

  • トヨタは全米の三都市に分散していた本社機能をテキサス州プレイノに集約し、従業員4000人を呼び寄せた。他の日本企業も続々とテキサス州に拠点を移したり新設したりしている。

1 / 4

【必読ポイント!】 なぜ、トヨタはテキサスを選んだのか?

10年後、世界を牽引するテキサス

f11photo/gettyimages

「今後、世界を牽引していく国はどこか?」と質問されたら、その答えはもちろん米国だ。米国では日本や欧州の国々を尻目に、今後も人口(特に若年層人口)が増加し続けると予想されており、長期的な成長が見込まれる。

全米50州でも高い成長率が期待されているのが、テキサス州にある交通の要衝、ダラス市を中心とした「ダラス経済圏」だ。隣接するフォートワース市とともに「ダラス・フォートワース都市圏」とも呼ばれるこの経済圏には、2009年からの5年間だけで約800もの企業が移転や事業拡張を進めている。

これまで米国はニューヨークやワシントンを中心とする「東海岸経済圏」と、ロサンゼルスやシリコンバレーを中心とする「西海岸経済圏」の2軸で発展してきた。しかし両経済圏とも人件費や不動産価格、物価が高騰。企業は将来のために、さまざまな可能性を検討しなければならなくなった。そこで浮かび上がってきた選択肢のひとつが、次世代を牽引する第三の経済圏「ダラス経済圏」を核とする、南部経済圏への移転である。

トヨタを魅了した「テキサス・メリット」

トヨタは2014年、カリフォルニア州、ケンタッキー州、ニューヨーク州に分散して置かれていた米国本社機能をテキサス州プレイノに集約し、約4000名の従業員をこの地に異動させると発表した。プレイノはダラスの北に隣接する都市である。

この移転の理由、すなわち「テキサス・メリット」を一言で表現すれば、「地理的な優位性」と「圧倒的に優位な税制」の2つに集約される。海運と空運で全米有数の規模を誇る拠点があり、陸運でもダラス経済圏からトラックで48時間以内に全米の93%の地域に到達が可能だ。

また税制面でも恵まれており、州が徴収する法人税および個人所得税がともにゼロである。この他にも家賃や物価水準が比較的安価なこと、資源やエネルギーに恵まれていることなどもメリットとして挙げられる。

ダラス経済圏に集まる日本企業

トヨタの拠点集約に続くように、建機製造大手のクボタが米販売子会社の本社をカリフォルニア州からテキサス州に移した。また電機大手のパナソニックも、デジタル関連の拠点をダラスに開設している。

このように大手メーカーが拠点を置くと、周辺には部品メーカーをはじめとした関連企業も集まるため、テキサス州では日本人コミュニティがいま急拡大している。ダラス日本人会は1983年に48社164世帯で発足したが、現在は142社946世帯の規模だ。

2 / 4

「カウボーイの街」から激変するテキサス

カナダや韓国をしのぐ経済規模

Luis M/gettyimages

テキサス州というと、どのようなイメージが浮かぶだろうか。西部劇のようにカウボーイが闊歩し、巨大なステーキにかぶりつく姿だろうか。たしかにテキサス州には西部劇をモチーフとした飲食店や建物がたくさんあり、食べ物は米国でも特にビッグサイズだが、人口や経済規模も巨大な州であることを忘れてはならない。

テキサス州は2800万人の人口を誇り、これは3900万人を擁するカリフォルニア州に続いて米国2位である。また各州の名目GDPでもカリフォルニア州に続いて2位だ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3233/4554文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2019.02.07
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

そろそろ左派は〈経済〉を語ろう
そろそろ左派は〈経済〉を語ろう
ブレイディみかこ松尾匡北田暁大
日本企業が世界で戦うために必要なこと
日本企業が世界で戦うために必要なこと
小川浩平
デジタル・エイプ
デジタル・エイプ
ナイジェル・シャドボルトロジャー・ハンプソン神月謙一(訳)
知ってはいけない2
知ってはいけない2
矢部宏治
<効果的な利他主義>宣言!
<効果的な利他主義>宣言!
千葉敏生(訳)ウィリアム・マッカスキル
ジャパネットたかた すごい戦略
ジャパネットたかた すごい戦略
名和田竜
イオンを創った女
イオンを創った女
東海友和
テクノロジーの地政学
テクノロジーの地政学
シバタナオキ吉川欣也

同じカテゴリーの要約

天才思考
天才思考
山崎良兵
だからベンチャーキャピタルはやめられない
だからベンチャーキャピタルはやめられない
岩澤脩
世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方
世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方
八木仁平
両利きの経営(増補改訂版)
両利きの経営(増補改訂版)
チャールズ・A・オライリーマイケル・L・タッシュマン入山章栄(監訳・解説)冨山和彦(解説)渡部典子(訳)
図解 イノベーション入門
図解 イノベーション入門
坪谷邦生井上功
ぜんぶ、すてれば
ぜんぶ、すてれば
中野善壽
先読み!IT ×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来
先読み!IT ×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来
古川渉一酒井麻里子
起業家のモノサシ
起業家のモノサシ
藤田田
生成AIが変える世界を紐解くINFRA MECHANISM
生成AIが変える世界を紐解くINFRA MECHANISM
江崎貴裕
生成AI「戦力化」の教科書
生成AI「戦力化」の教科書
松本勇気

フライヤーは、著者・出版社の許諾を得たうえで要約を掲載しております。また、選書委員会を設けて今読むべき本を厳選し、ライターが要約を作成しております。詳しくはコンテンツポリシーをご確認ください。