編集部のイチオシ2021年12月号
スマホ脳、SNS中毒かもと思ったあなたへ
依存症のメカニズムとその解決策

スマホ脳、SNS中毒かもと思ったあなたへ

「要約の達人が選ぶ、今月のイチオシ!」では、編集部メンバーが毎月持ち回りで、それぞれの「イチオシ」を紹介していきます。

「自分は何かの依存症になんてならない」と思っている人ほど、いつのまにかドツボにハマるもの。

何気なく書いたツイートでも、「いいね」がつくとうれしいですよね。 どうにもやる気が出ないときに、ジムに行っただけでエライと思ったりしますよね。 ちょっとがんばってゲームや課題がクリアできたら、昨日より進歩した気持ちになりますよね。

その「前向きな気持ち」が、はからずも自分を壊す怪物のエサになってしまうとしたら? 新しいテクノロジーはよくできているので、私たちをどんどん「その気」にさせます。 気づいたら心と体がボロボロ……となる前に、本日紹介する3冊で依存のメカニズムとその対処法を知っておきましょう!

石田翼
編集部石田翼のイチオシ
スマホ脳
スマホ脳
アンデシュ・ハンセン,久山葉子(訳)
新潮社
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スマホ脳
スマホ脳
著者
アンデシュ・ハンセン久山葉子(訳)
出版社
新潮社
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この記事をスマホで読んでいる人も少なくないでしょう。

電車で、街中でちょっと周りを見回してみてください。スマホを眺めている人はたくさんいますね。時間潰しにはちょうどよいですし、いろんな情報が飛び込んできて、おいしいレストランやこれから観られる映画を探すのもお手のもの。豆知識はどんどん増えて、たくさんのことを知った気にもなれます。

スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンさんの世界的ベストセラー『スマホ脳』によると、現代人は「10分に1回スマホに触れている」そうです。1回は15秒程度でも「ちり積も」ですね。自分が1日にどれくらいスマホを見つめているかちょっと考えてみてください。

思い出せない何かが気になったとき、ちょっとした通知が目に入ったとき、ごはんを食べていて手持ち無沙汰だなと思ったとき、友だちとの会話が途切れたとき、なかば無意識的に手が伸びてしまいますよね。

たかがスマホと思うかもしれませんが、1日でスクリーンを見る時間が長いと睡眠が阻害されやすくなる、という研究もあります。はたまた、うつになると主張する論文も。

そう、スマホは確実にあなたの健康な毎日を削っているのです。

そして、依存症は互いに地続きですから、スマホを「依存」の扉として、買い物、タバコ、アルコール、ギャンブルなどほかの依存症に広がっていく人もいます。

スマホがあなたの脳に与える影響について、ひとまず知るところから始めましょう。

僕らはそれに抵抗できない
僕らはそれに抵抗できない
アダム・オルター,上原裕美子(訳)
ダイヤモンド社
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僕らはそれに抵抗できない
僕らはそれに抵抗できない
著者
アダム・オルター上原裕美子(訳)
出版社
ダイヤモンド社
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スマホは、まさに新時代の依存対象として認知されるようになりました。

長時間のオンラインゲームや、「ツイ廃」、インスタグラムへの没入といった「SNS中毒」もそのひとつ。こうした、「悪いと感じていながらついやってしまうこと」を「行動嗜癖」といいます。

僕らはそれに抵抗できない』は、新しいテクノロジーを利用した「依存症ビジネス」に迫った本。そこでは、「依存症は性格の問題ではなく、当人の虚無感などを癒すようにデザインされた環境、プロダクトが関係している」と解説されています。『スマホ脳』でも書かれていますが、多くのヒトが依存しやすい条件が提示されるので、「自分は大丈夫」ということは決してありません。

何かにチャレンジすること、努力が実ること、注目されること。普通に考えれば「良い」ことであっても、いまのテクノロジーはそれへの渇望を異常にドライヴしてきます。

でも、悪いのはテクノロジーそのものではなく、プロダクトそのものでもない、と著者は説きます。「人を依存状態にさせることが目的ではなかったはずなのに」と反省しだす開発者もいるようです。

「新しい依存症」からどう逃れられるのか。どうすれば私たちが依存体質にならずに済むのか。その方法も、この本から学べます。落とし穴にハマる前にぜひ読んでおきましょう。

最強脳
最強脳
アンデシュ・ハンセン,久山葉子(訳)
新潮社
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最強脳
最強脳
著者
アンデシュ・ハンセン久山葉子(訳)
出版社
新潮社
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スマホ脳』の著者は、スマホに侵食される恐ろしさを明らかにしただけでは終わりません。

続く『最強脳』では、「書を捨てて街へ出よ」とでも言わんばかりに、アクションを促します。スマホに対抗するには脳を鍛える必要がありますが、脳トレではなく身体を動かすことがいかに効果的か、科学的に解説しているのです。

「えー、でも筋トレとか、ジョギングとかめんどくさい……」と思ったあなた、ご安心ください。運動が得意でない人や子どもでも簡単に取り組める方法を紹介しています。

行動嗜癖を助長する製品、サービスは、これから先もひっきりなしに出てくるでしょう。シンプルに脳の働きを強くしておけば、きっとあなたを守ってくれます。なにせ、『スマホ脳』著者のお墨付きの方法なのですから。


ところで、フライヤーもネット環境を利用したアプリケーションです。「依存」するほどハマったとして、そこで得られるのはリアルで使える知識、ノウハウ、教養なので、きっと脳の栄養になるはず! 「今日もフライヤーでたくさん勉強になっちゃった」と思っていただけるように、これからもがんばって参ります。

公開日:2021/12/09