
雑談の上手い人は相手に「ときめき」を与えている
人間関係を良くするには、コミュニケーションが欠かせません。相手の心を開き、信頼関係を築くため「雑談」を有効に使ってみませんか? 『相手の心をつかむ雑談力』(三笠書房)の著者でコミュニケーション・アドバイザーの森優子さんが、人に好かれる雑談のコツを教えます。
ライター・森優子
毎日を気持ちよく、希望を持って過ごしていくには、人とのコミュニケーションが不可欠です。
まだ言葉を発せない赤ちゃんがあやされると笑ったり、両親以外の人に抱っこされると泣き出したりするように、大人も相手の出方によって笑顔になったり、信頼や安心を感じたりします。
「あなたに話を聞いてもらいたい」「あなたと仕事がしたい」「あなたに任せたい」
人がそのように思うのは、あなたを信用し、あなたの存在に安心しているからです。
人と信頼関係を築き上げていくには、人として安心感を持っていただくことが大前提です。
それにはまず、人として好きになってもらわなくてはなりません。
そして人として好きになってもらうには、相手の心をつかむ雑談力が必要です。
なぜなら、人と接していくことにおいて自然現象のように発生していくのが雑談だからです。
会社の上司や部下、仲間や友人、恋人、家族や近所づきあいに至るまで、相手の心をつかみ信頼関係を確かなものにしていくためには、雑談こそ必要なスキルです。

雑談の上手い人は、相手の話をそのまま聞きます。
雑談の下手な人は、相手の話をさえぎります。
雑談の上手い人は、すべての人に耳を傾けようとします。
雑談の下手な人は、人を選んでしまいます。
なぜでしょうか。
雑談の上手い人は、相手を知ることに意識を向けるからです。
聞くという行為は、相手を受け入れることです。
まずは、全部聞いてみる。すると、相手の気持ちや考え方がわかってきます。
「あいつはいつも『わかった』と言って、最後まで話を聞かないから本当に困るよ」
あるメーカーの取締役がこぼしていたことがありました。
頭が切れるから冗談も面白く、仕事もそつなくこなすせっかち君は30代。
頭の回転が速い分、理解するのも早いのでしょう。
でも、その「わかった」がとんでもない早とちりで、トラブル寸前になることがよくあるというのです。
「彼は本当にもったいない」
その取締役が頭を抱えるのは、無理もありません。
人の話を最後まで聞くことを意識さえすれば、せっかち君は間違いなく、出世街道へと進んでいくはずです。

人は、話を最後まで聞いてくれる人に、安心感と信頼感を抱くものです。
たとえ自慢話だったとしても、最後まで聞いてあげましょう。
いくらなんでも、何時間も続くことはないはず。
自分はこんなふうにならないようにしよう、と思いながら聞けばいいのです。
「全部聞く」ことが、聞き上手であることに間違いありません。
〈POINT!〉どんな人のどんな話でも、まずはいったん全部聞きましょう。
雑談の上手い人は、小さな秘密を打ち明けます。
雑談の下手な人は、秘密主義です。
雑談の上手い人は、殺し文句を言います。
雑談の下手な人は、決まり文句しか言いません。
なぜでしょうか。
雑談の上手い人は、相手に「ときめき」を与えるからです。
胸が躍るようなときめきを感じるのは、恋愛だけではありません。
ふらっと立ち寄った店で、魅力的な腕時計を前にしばらく見とれてしまったり、懐かしい曲を聴いたとき、思わず何度も再生してしまったりするのも「ときめき」です。
人は、モノや芸術、場所にも、ひと目ぼれをします。
その対象が人であれば、ときめきがさらに大きくなるのは言うまでもありません。
相手の心をしっかりつかみ、期待や喜びでドキドキしてしまうことを、ここぞというときに伝えられたら、最強の友だちになれることは間違いなさそうです。

では、雑談の上手い人は、どんなふうに「ときめき」を感じさせるのでしょうか。
1つめは、ちょっとした秘密を相手に打ち明けることです。
「○○さんだから思いきって話すのだけど、誰にも言っていないことがあって」
相手は一瞬ドキッとします。
内容は……「実は鉄道マニアなんです」とか「外国語を習い始めた」など。プライベートで密かに楽しんでいる内容が多いような気がします。
プライベートな部分を相手に打ち明けると、心が繋がったような感覚を覚えると思います。そして自分も秘密を打ち明けたりするものです。
雑談の下手な人は、自分の秘密は徹底して守ろうと、心に秘めておきます。
それはそれで悪いことではないのですが、真の友情を築きにくくさせてしまうかもしれません。
つぎに、雑談が上手い人は、相手に頼ることでときめきを発生させます。
例えば、音楽や映画のタイトルなどを使って相手に頼ります。
「この間、カフェで流れていた曲のタイトルがどうしても思い出せなくて……。○○さんなら知っているかも」と、目の前で口ずさんだり、「60年代の洋画が見たいのだけど、何を選んでいいのかわからなくて。何かオススメとかありますか?」など、日常の自分ではすぐに解決できそうもないことを、さらっと言ってみるのです。
すると「あー、その曲は僕も好きです。なんでしたっけ、えーっと」と考えたり、最終的にはその場でアプリをダウンロードして、鼻歌交じりでスマートフォンに入れて一緒に楽しんだりします。
すぐに答えが出れば「さすが!」となるし、わからなければ雑談をしながらともに探していくことができます。
大好きな音楽や映画のタイトル探しからは、当事者同士にしかわからない独特のときめきが発生するのです。

そして極めつけは、殺し文句です。
「○○さんに出会えてよかった」「○○さんがいなかったら、わからないままだった」「○○さんがいなかったら、困る」など。
キメのひと言を上手に使って、刺激的な言葉でドキッとさせてみましょう。会ったことが2回以上あれば大丈夫。
恋愛と同じで、それまでの話の内容の流れによって、使うタイミングが自然にわかるようになると思います。
〈POINT!〉さらっと刺激的な言葉を発して、相手の心をつかみましょう
森優子(もり ゆうこ)
コミュニケーション・アドバイザー。マリアージュコンサルタント事務所代表。
短大卒業後、西武ライオンズ・西武鉄道のチアリーダーに従事。結婚、離婚を経てシングルマザーになり、㈱リクルート、㈱リクルートキャリアにて求人広告の企業営業を担当。入社2年目には、通期を通して「売上、新規売上、新規社数」の目標を完全に達成した者だけに与えられる「グランドスラム賞」を取り表彰される。ほかにも、月間MVP賞や月間売上トップ賞をたびたび獲得。その一方で、生活のため夜は銀座のクラブホステスとして14年間働く。2013年、両親の介護のためにホステスを引退。2015年、マリアージュコンサルタント事務所を開業。心をつかむ接客術、人心掌握術をはじめ、人生の目標を達成するための力をつけるコミュニケーション・アドバイザーとして、絶大な支持を得ている。著書に『感じのいい人は、この「ひと言」で好かれる』『相手を立てるのがうまい人』(以上、三笠書房)、『嫌なことを言われた時のとっさの返し言葉』『会話が上手い人 下手な人』(以上、かんき出版)。