

社会人の学びが推奨される今、スキルアップや資格取得に励んでいる方も多いのではないでしょうか。世の中には多種多様な資格がありますが、最近ビジネスパーソンに人気を集めているのが「ITパスポート」。ITに関する基礎知識を証明する「パスポート」として、学生や社会人から注目されています。 今回はITパスポートを受験予定の方、これから勉強を始めようと考えている方に向けて、知識をさらに深めるための本をご紹介します。
「ITパスポート」とはどのような資格でしょうか? 主催するIPA 独立行政法人 情報処理推進機構の特設ページにはこう説明されています。
iパスは、ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。
ITパスポート試験は2009年に開始。それ以降、受験者数は年々増加して、2023年度までに累計約200万人が受験。2023年度は過去最多の約30万人が受験したそうです。
またITパスポートは「情報処理技術者試験」と呼ばれる国家試験のカテゴリー内でもっとも基礎的なレベルとあり、学生から幅広い世代のビジネスパーソンに人気を博しています。特に非IT系企業の人が多く、社会人受験者の約8割を占めているそうです。最近では人材育成の一環として、社員に受験を奨励する企業も増えています。
ITパスポート試験は、3つの分野から出題されます。試験の名称からIT関連の問題ばかりが出るイメージがあるかもしれませんが、経営戦略やマネジメント、マーケティングなど、企業活動全般における幅広い知識が問われます。
合格するためには、各分野からバランスよく点数を取る必要があります。
〇 ストラテジ系分野
経営に関する分野。企業活動、法務、経営戦略、システム戦略など
〇 マネジメント系分野
組織内マネジメントに関する分野。開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査など
〇 テクノロジ系分野
ITに関する分野。プログラミング、コンピュータシステム、データベース、ソフトウェア、ネットワーク、情報セキュリティ、人工知能など
それでは、ITパスポートの理解を深める本を紹介していきます。


2022年4月から高校の必修科目となった「情報Ⅰ」。「情報Ⅰ」は2025年1月の大学入学共通テストの科目にも加わることが決定しています。
「情報Ⅰ」の内容は、プログラミング、データ分析、情報セキュリティなど、かなりの部分でITパスポートと重なります。著者は、「近い将来、IT知識やスキルは社会人の“共通言語”となるだろう」と予測しています。
数年後には「情報Ⅰ」を英語や数学と同じように学んできた子どもたちが就職し、そのボリュームは年々増していきます。その意味からも、「情報Ⅰ」を学んでいない今の社会人がITパスポートの勉強をする意義は大きいでしょう。


ITパスポートの試験では、「経営戦略」より財務諸表の読み方も出題されます。財務諸表とは会社の経営状態をステークホルダーに報告するための書類で、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つを指します。
本書では財務諸表の仕組みをはじめ、どのような指標で分析し、どこに着目すべきかなどを具体的に解説。順に読んでいくことで、経営分析に必要な基礎知識が身につくようになっています。
経営分析を一から学びたいという人におすすめの一冊です。


企業戦略における分析手法として、よく出題されるのはSWOT分析とPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)。本書では、ボストン コンサルティングサービス出身の著者が、PPMについて詳しく解説します。
自社の製品を「花形」「問題児」「金のなる木」「負け犬」の4つに分類し、どこに資源を投下すべきかを分析するPPM。本書では全社目線から、事業間での資源の再配分についてPPMが論じられています。


マーケティング初学者に向けた一冊。大学の教科書にも使われており、マーケティングの基本的な考え方からマーケティング・マネジメント論、ソーシャル・マーケティング論などを網羅的にカバーしています。
ITパスポートでもマーケティングは出題されますが、特にマーケティングのフレームワーク「4P」は必ず覚えておきたい項目です。
Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素から成る「4P」。要約ではProduct(製品)について掘り下げて、カルビー「かっぱえびせん」を事例に挙げて解説します。


マネジメント系分野からは、必ずと言っていいほど出題されるプロジェクトマネジメント。ITパスポートでは、システム開発のプロジェクトマネジメントについて問われます。
本書は、プロジェクトマネジメントの基本がコンパクトにまとまっている一冊。目標設定、計画から実行まで、それぞれのステップが1つずつ記されています。「プロジェクトマネジメント」とは何かを理解し、流れやポイントを効率よく学びたい方は一度読んでおくといいでしょう。


日進月歩で進化している科学技術。ITパスポートの試験内容や出題範囲も、半年~1年単位で見直しが行われています。
生成AIの急速な発展とともに、人工知能関連の問題も増加傾向です。本書は、人工知能の中核技術となる「機械学習」を、初学者に向けて解説した一冊。機械学習の基礎知識や特徴、深層学習から量子計算機などについて言及しており、AI学習の入門書としておすすめです。


暗号技術やブロックチェーンについても問われます。なかでもデジタル署名に使われる「公開鍵暗号」「共通鍵暗号」は出題頻度が高く、必ず覚えておきたいトピックです。
本書は暗号技術のひとつであるブロックチェーン技術を読み解いた一冊。複数のコンピュータで取引履歴を共有でき、改ざんが困難なブロックチェーンは、ビットコインなど仮想通貨(暗号資産)の基礎技術となっています。
このブロックチェーンの主要技術となっているのが、公開鍵暗号。本書では公開鍵暗号についても詳しく述べられているため、「難解でよくわからない!」という方には頼もしい存在となりそうです。


企業活動中には様々なリスクが発生します。本書ではデロイト トーマツ リスクアドバイザリーが、企業が直面する可能性のある多種多様なリスクとその管理手法について解説します。
ITパスポート試験では、リスクマネジメントはテクノロジ系分野で出題されます。リスクマネジメントのプロセス(リスク特定→リスク分析→リスク評価→リスク対応)が中心ですが、リスクマネジメントの全体像を知っておくとより知識の幅が広がるでしょう。


個人や企業の情報を盗んだり破壊したりするサイバー攻撃は、IT社会における大きなリスク。ITパスポートでも情報セキュリティは重点トピックとして扱われています。
2024年に出版された本書では、サイバー攻撃やサイバーセキュリティについての基礎知識から最新事情、対策までを丁寧に解説。日々アップデートされていくサイバーセキュリティ情報を本書で仕入れましょう。


近年、プログラミング言語を使わないでアプリやソフトウェアを作成する「ノーコード」ツールが注目を集めています。非エンジニアでも気軽にアイデアを形にできるノーコードは、今後さらに市民権を得ていくことでしょう。
ノーコードはITパスポートではカバーされていませんが、将来的には追加される可能性がなきにしもあらず。IT業界の最新動向をチェックしながら、勉強の合間に読んでみてはいかがでしょうか。