メンバーそれぞれがスキルや能力を最大限に発揮し、チームとして高い成果を出すための取り組み「チームビルディング」。ビジネスがうまくいくか否かは、チームビルディングにかかっているといっても過言ではありません。
とはいえ、チームビルディングは意外と難しいもの。メンバーとの考えの違いや些細なミスコミュニケーションが、チーム全体のパフォーマンスに影響することもあります。
本記事では、チームビルディングのコツが学べる10冊をご紹介します。リーダーや部下を任される立場の方は、ぜひ参考にしてみてください。
言わずと知れたチームビルディングの名著。膨大なインタビューと科学的エビデンスによって、「チームづくりのカギ」を解き明かした一冊です。
本書ではチーム力を鍛えるポイントとして「安全な環境」「弱さの開示」「共通の目標」の3つを挙げています。これらは一朝一夕にできるものではなく、「日常のさりげない行動」の積み重ねによってつくられるのだとか。
その具体的な行動のひとつが「感謝を伝える」。しかも過剰だと思うほど伝えることで、メンバーは「安全な環境」だと感じ、チームへの帰属意識を高められるそうです。
自分の小さな行動からチームを変えていきたいと思う方は、ぜひ読んでみてください。
「フラットなチーム」をつくりたいのに、つい部下に指示ばかりしてしまう、上意下達の文化が染みついている……というリーダーにおすすめの本。
「フラットなチーム」にするには、まずメンバーが意見を言いやすい仕組みをつくり、力を発揮しやすい環境を整える必要があります。本書では、そのためにリーダーは「指示をする人」ではなく、「ファシリテーター」になるべきだと提案します。
メンバー一人ひとりが輝き、成果を最大化するチームづくりのノウハウが詰まった一冊です。
グーグルで人材開発に携わってきたピョートル・フェリクス・グジバチ氏が、「最小の人数で、最高の結果を出す」ためのノウハウを教えてくれる一冊です。
「今いるメンバーで結果を出す」にはどうしたらいいでしょうか。当然、チームには色々な人がいます。グチをこぼしてばかり、仕事の出来がイマイチ、メンバー同士が揉めている……など、不安要素は山ほどあるでしょう。
本書ではそんな起こりがちな事例を挙げながら、チームの力をプラスに転換する方法を伝授します。グーグルじゃなくてもできる、「グーグル流・最高のチームビルディング」を、本書でハックしませんか?
本書によると、チームづくりの要は「法則」だといいます。良いチームをつくるには、次の5つの法則が必要です。
(1)Aim(目標設定)の法則
(2)Boarding(人員選定)の法則
(3)Communication(意思疎通)の法則
(4)Decision(意思決定)の法則
(5)Engagement(共感創造)の法則
たとえば(1)の目標設定の法則。「今月は売上○○○万達成!」と、数値ばかりを目指していませんか?もちろんそれは基本中の基本ですが、個々が積極的に達成したくなるような目標とは言えません。
本書で勧めるのは「何のためにそれを達成するのか」という「意義目標」の設定です。「○○の販売を通じて、幸せな食卓時間を届ける」などと理想の未来像を描くと、ポジティブな気持ちで仕事に向き合えるようになるでしょう。
本書では5つの法則を具体事例とともに解説。チームビルディングの教科書として活用してほしい一冊です。
同じチームや部署の人たちとは、密なコミュニケーションや相互の協力が求められます。ですが、性格も考え方も違うメンバーと、わかりあえなかったり、いがみあったりすることは少なくありません。
本書では、相手との「溝」を埋める方法として、相手ではなく自分の解釈を変える「ナラティブ(narative)」という手法を提案し、具体的なプロセスについて解説します。
自分から見える景色と、相手から見える景色は違うもの。「メンバーとあまりうまくいっていない」という人は、自身のナラティブを変えることで、何かしらの気づきがあるかもしれません。
「リーダー」という言葉を聞いて、チームを堂々と率いる偉大な存在をイメージする人もいることでしょう。それゆえに、「自分はリーダーに向いていないのではないか?」と悩むマネジャーも少なくないはずです。
リーダーシップの本質を説く本書では、リーダーとは最初からリーダーであるのではなく、そのプロセス(=リーダーシップの旅)を経てリーダーになっていくのだと定義します。
最初から何でもできる完璧なリーダーなどいません。チームをつくっていく中で、少しずつリーダーになっていくのです。
本物のリーダーシップを知りたい方におすすめの一冊です。
チームと言えど、一人ひとりは個別の人間。それぞれが、それぞれの欲求を持って生きています。
本書ではまず、人は生まれながらに5つの基本欲求(生存、愛・所属、力、自由、楽しみ)を持ち、その欲求を満たす「上質世界(=願望)」を現実世界で手に入れようとして行動すると説明します。
その上で語られるのが、「リードマネジメント」です。「選択理論(選択理論心理学)」をベースにした手法で、メンバーの成長(個々人の目的・目標達成)を通して組織パフォーマンスを最大化することを目的とします。著者自身も、リードマネジメントに取り組んだことをきっかけに、マネジャーとして頭角を現していったといいます。
「ビジネス書グランプリ2025」のグランプリ受賞作品でもある本書。ぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。
チームビルディング界隈ではお馴染みの言葉である「心理的安全性」。本書における「チームの心理的安全性」とは、「メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるチーム・職場」を指します。
よく誤解されるのは、和気あいあいとしているだけの「ヌルい職場」。心理的安全性の高い職場では、目標達成するために互いが忌憚なく発言することから、時に衝突も起こります。ただ相手に迎合するだけのコミュニケーションは、心理的安全性が高いとは言えないのです。
本書では理論・体系に基づいた解説をしながら、日本の組織に適した心理的安全性の高いチームづくりを教えてくれます。本書を読んで、「心理的安全性」についてきちんとおさらいしませんか?
『完訳 7つの習慣』のスティーブン・R・コヴィーによる、リーダーシップ論の名著。リーダーシップについては様々な論説がありますが、著者が重視するのは、「相手の気持ちや立場を考慮した態度」。組織やチームを長期的な成功に導くには、メンバーの能力や可能性を引き出すことが何よりも大切だと説きます。
そのためには、リーダーはメンバーをコントロールすることを手放し、自身の人格を磨くこと。著者は「自分自身が変わることでしか、周囲に変化を起こすことはできない」と断言します。非常に耳の痛い言葉ですが、納得感があるのではないでしょうか。
真のリーダーシップとは何か。『完訳 7つの習慣』と合わせて通読することもおすすめします。
企業は利益追求を余儀なくされる一方、組織運営の観点からは、働く人の「幸せ」を追い求める必要もあります。
本書は「永続的幸福」を企業理念に掲げる株式会社ポーラの社長・及川美紀氏と「幸福学」を研究する前野マドカ氏の共著本。共に「ポーラ幸せ研究所」を立ち上げ、「幸せで成果の出るチーム運営」を実践しています。
人的資本経営の必要性が叫ばれるなか、人を大事にする組織運営について知りたい経営者、リーダー層におすすめの一冊です。
いかがだったでしょうか。チームビルディングは一日にしてならず。書かれていることを少しずつ取り入れながら、目指すチームの姿に近づいていきましょう!