
いよいよ12月がやってきました。年末・年始は忘年会、新年会、クリスマスパーティーなど飲み会が多くなる季節です。
12月は、仕事でもプライベートでも連日飲み会という人も少なくないでしょう。飲み会で気になるのはやはり悪酔い、二日酔い、そしてカロリー過多。楽しい会ではついついお酒が進み、飲み過ぎてしまうものです。
今回は、酒ジャーナリストで新刊『名医が教える飲酒の科学』を上梓した葉石かおりさんに、“名医”のアドバイスをもとにした「飲み会でのおすすめの飲み方」について伺いました。聞き手は、株式会社フライヤーの執行役員・井手琢人です。
ライター・井手琢人
「お酒は体に毒だ」という話が多い中で、葉石さんのご本は「飲酒寿命を延ばすためにはどうしたらいいか」を主軸に書かれていますよね。我々のような酒飲みに寄り添ってくれているようで、隠れファンになっておりました。




ありがとうございます。私自身が長くたくさんお酒を飲みたいというのが原点にあるので(笑)、飲酒寿命をいかにして長くするかを突き詰めて書いています。
コロナ禍に入って、皆さんのお酒の飲み方が変わってきました。一方、健康不安を抱える人も多くなっている中で、今回の本『名医が教える飲酒の科学』は、お酒とはどういうものなのか、どういう飲み方をすればお酒とうまく付き合っていけるのかを、お医者さんに取材してまとめました。
実はコロナ禍で、5リットルのウイスキーを2週間で飲み切ってしまい、しまいには逆流性食道炎になってしまったんです。これではまずいとお医者さんに取材を始めたのがきっかけです。

コロナ禍で飲み会が減り、お酒を飲む機会が減ったかと思いきや、家で飲む回数は増えた気がします。家だと歯止めが効かず、酒量が増えたという人も多いのではないかと思います。
今回は初歩的なところから、飲み会でおすすめの飲み方をいくつか教えていただければと思います。
葉石:まず、飲み会の最初には「油」を使った料理を食べるのがおすすめです。
井手:一般的に「油物は避けるべき」とされてきましたが、油の成分が体にいいのでしょうか?
葉石:油を最初にとっておくと、お酒が胃の中でしばらく滞留してくれるんです。それにより、お酒が小腸に届く時間を遅らせてくれるので、急激な酔いが起こりにくくなります。
もちろん衣がついた天ぷらやフライなどはカロリーがありますが、油を使った料理は天ぷらやフライだけではありません。ドレッシングをかけたサラダやカルパッチョなどは低カロリーで油が取れるのでおすすめですね。
油を最初にとると、立ち上がったときにクラクラするような酔い方にはならず、ゆっくり気持ちよく酔うことができます。
井手:急激な酔いがなくなるのはとてもいいですね。「飲酒前にはウコンを飲んだほうがいい」というのもよく聞きます。
葉石:ウコンの効き方には個人差があります。特に肝臓の数値があまり良くない方は注意が必要ですね。
コンビニなどに売っているウコンのドリンク剤をたまに飲むぐらいでしたらいいとは思いますが、常用はあまりおすすめしません。
井手:お酒を飲む前におすすめのサプリやドリンク剤はありますか。
葉石:酢酸菌を含んだものがいいです。酢酸菌がアルコールを分解してくれるので、悪酔いしないし翌日に残りません。
もう一つはモロヘイヤのサプリです。モロヘイヤのネバネバが胃の粘膜を保護してくれるのと同時に、腸の動きも活発にしてくれるので、お腹を壊しにくくなると思います。
ドリンク剤なら、ビタミンBを多く含むものがいいですね。お酒を飲むとビタミンBが減りやすくなりますが、ビタミンBは糖質の代謝を促してくれる役割があります。ぜひ事前に飲んでおきましょう。

飲み会中に気をつけるべきことはありますか?
葉石:お酒を飲んでいる間は、始終お水を飲むようにしてほしいです。お酒を飲むと血中アルコール濃度が上がっていくのと同時に、お酒の脱水作用から二日酔いなども起こりやすくなります。体からなくなる分の水を補充する感覚で飲んでいただくといいかと思います。
井手:お酒を飲んだ後は何をすればいいですか?
葉石:お酒を飲むとどうしてもむくんでしまいますよね。お腹を壊してしまうこともありますし、逆に脱水になってしまっている人もいるでしょう。
そういう方には「五苓散」という漢方薬がおすすめですね。水分分布がバラバラになった体内を平均的に整えてくれる働きがあります。

最後に、葉石さんには飲み会での“心得”があるそうですね。ぜひ教えてください。
葉石:2つあります。まずは「空腹で飲まない」です。
ビールは空きっ腹のほうがおいしいのはわかっているんですが、少しでいいので何かおなかに入れておくようにします。自宅から飲み会に向かうときは、小さな玄米のおにぎりを食べてから行くようにしています。
少しだけ食べておくだけで圧倒的に酔いにくくなるので、忘年会シーズンには特におすすめですね。
井手:長くゆっくり飲むためにも大事なことですね。もう一つ教えてください。
葉石:「締めは我慢しない」です。
なるべく締めは食べないほうがいいんですが、どうしても我慢できないことってありますよね。お店では我慢したものの、帰り道にお腹がすいてコンビニのカップ麺やおにぎりを食べてしまった……という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
井手:帰り道のコンビニ、危険ですよね。私も何度も経験あります(笑)。
葉石:家に帰ってから寝る前に食べてしまうのが、時間帯的にいちばんよくないんです。だから、そうなるくらいなら、お店で締めを食べてから帰ったほうがいい。早い時間に食べるほうが消化にもいいですし、胃や腸の負担も小さく、翌日もたれません。
締めを食べないほうがいいのは大前提として、本当に我慢できないときはお店で食べておくようにしましょう。
井手:100点の理想に向かってなかなかすべてを実践することはできない中、注意すべきポイントを教えていただき、大変参考になりました。ありがとうございました!
インタビューの動画をYouTubeでご覧いただけます。



葉石かおり (はいし かおり)
エッセイスト・酒ジャーナリスト
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長
1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に至る。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に、講演、セミナー活動、酒肴のレシピ提案を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外にて世界に通用する酒のプロ、サケ・エキスパートの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。