2025年2月13日、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」の授賞式が開催されました。 「読者=ビジネスパーソン」が価値ある書籍を評価する本グランプリは、今年で記念すべき10回目の開催です。
注目の結果発表、授賞式、そして受賞作品の著者や編集者からのメッセージ。その模様をダイジェストでお届けします!
総合グランプリ&部門賞&特別賞の結果詳細はこちらから。
授賞式は、フライヤー執行役員で、読者が選ぶビジネス書グランプリ事務局長を務める井手琢人のスピーチでスタート。司会はアナウンサーの竹内夕己美さんです。
読者が選ぶビジネス書グランプリの開催は今回で10回目になります。
ビジネス書グランプリの受賞作はその一年を映し出しています。時代を象徴する名著が毎年刊行されていることに、我々フライヤーもうれしく思っております。
全国の書店さん、取次さんの多大なご協力をいただき、このグランプリの受賞作は全国の書店でフェア展開されます。今回もみなさまのご協力をいただきまして、書店フェアは約1,300店舗がご参加くださっております。
メディアのみなさまにもたくさんお集まりいただき、毎年多くの媒体で取り上げていただいております。この場をお借りしまして感謝を申し上げます。
いよいよ投票結果発表へ。
フライヤー代表取締役CEO大賀康史より、各部門賞、総合グランプリ受賞の著者や編集担当者にトロフィーの授与を行いました。
物事を正しく考えられなければ、いくらロジカルシンキングをしても意味がありません。手法論よりも解くべきイシューに集中しましょうというメッセージを込めて執筆しました。
本書の最大のテーマは「日本にはびこる根性論の打破」です。改訂前の『イシューからはじめよ』を出版して14年経ちますが、「日本にはびこる根性論の打破」はまだ実現できていません。この問題の解決のために、まだまだ頑張っていかなければと考えています。
本書は、コミュニティを先に作り、その人たちに喜ばれるビジネスやプロジェクトを立ち上げてきた経験をまとめたものです。多くの方にお読みいただき、喜んでいただけたことをうれしく思います。本書をきっかけに幸せなお金持ちが誕生することを、とても楽しみにしています。
これまで私自身が多くのマネー本を読んできました。どれもすばらしく、参考にもなった一方で、「富を手にした人たちは本当に幸せなのかな」という疑問がどこかにあったのも事実です。「本当に幸せな億万長者ってどんな人なんだろう」という問題意識を読者の方に投げかけるとともに、そのアンサーを伝えたいと考えて本書を企画しました。
本書の読者から聞く声で一番多いのは「会社を辞めました」(笑)。複雑な気持ちはあるものの、誰かの人生に影響を与えたという点では良かったと感じています。
私は5年間、毎週1回、「自分はこれからどうしていきたいのか」という問いを自分に投げかけてきたおかげで、ここまでやってこれたと思っています。本書はそれを追体験してもらえる“コーチングブック”のような設計にしています。
「読者が選ぶビジネス書グランプリ」は自分に縁がない賞だと思っていたので受賞に驚きました。ですが、普段ビジネス書を読んでいる方に手に取ってほしいと思っていたので、うれしいです。これからも「働いている人が本が読める社会」の実現に貢献していきたいですし、働いている人が読みやすい本を書いていきたいと思います。
新書は一般的に50~60代以上がターゲットだと言われていますが、実は本を読んでいるのは働き盛り世代。働き、生活する上での悩みを解決するために、本を購入しているように感じていました。
三宅さんは「働き盛りの読者に向けて文芸評論や読書史を届けることによって、また違った世界が見せられるのでは」と意識して執筆しておられました。
今までの著書ではビジネスの話を題材にしていましたが、今回は私自身がこれまでやってきたことを体系化して書きました。
読者の方から最も多くいただく感想は「実践したらすぐに幸せになれた」というものです。高校生から80代まで、幅広い読者の方から感想をいただいており、うれしく思います。
戦略と計画を忠実に実行し勝利を目指す「戦争の時代」から、好奇心に基づき不確実性の海を乗りこなす「冒険の時代」へと移り変わりました。本書が、困難をしなやかに克服し、その過程を学びの機会として楽しむためのヒントとなれば幸いです。
新米リーダーに寄り添える本を書きたいと思って執筆しました。
困難に遭遇するとつい「どう乗り越えるか」に注力しがちですが、乗り越えた後にしっかり振り返りをして教訓を得て、次の困難に備えられるチームを作っていくことも大切だと伝えたいです。
本書を出版した2018年までは、「アウトプット」という言葉を耳にする機会はほとんどありませんでした。本書によってこの言葉が浸透し、日本人の習慣が変わったことを非常にうれしく思います。
3月7日には、サンクチュアリ出版から『自分の思いを言葉にする こどもアウトプット図鑑』を出版します。本書を通して子どもたちのアウトプット欲を伸ばし、子どものうちから普通にアウトプットができるようになることが、当面の目標です。
初めての著書がこのような光栄な賞をいただけたことに、驚きと感謝でいっぱいです。
28歳で初めて部下を持った私はマネジメントの「無免許運転」状態でした。当時は部下が次々に退職や異動をしていき、部下から「橋本さんのことが嫌いです」と言われたこともあります。
読者の方からは「社内の管理職全員での勉強会の教材として使っています」というお声をよくいただきます。よろしければぜひ、教材としてお使いいただけたらうれしいです。
フライヤーの大賀より、今年支持を集めたビジネス書の傾向について総括です。
大賀:「読者が選ぶビジネス書グランプリ」の各賞に輝いた作品の関係者のみなさま、本当におめでとうございます。私から簡単に、今回の受賞作について総括いたします。
2024年は先が見通しにくい一年でした。能登半島地震などの災害から始まり、ウクライナやハマス周辺の紛争、パリ五輪のメダルラッシュ、衆議院選挙、トランプ大統領の再選など、価値観と感情が揺さぶられる出来事がありました。世界ではポリティカルコレクトネスの揺り戻しの動きが各国で見られ、ますます個人の生き方の複雑性が増しています。
経済面ではインフレ傾向が定着し、堅調な企業業績や1月から始まったNISAの新制度などの影響もあって、日経平均は全般として好調に推移しました。貯蓄から投資の流れが定着し始めた一年と言えるでしょう。テクノロジー面ではChatGPTが象徴するAIが急速に進化していて、2025年はAIエージェント元年とも呼ばれ、いよいよ人を超える知性を持つAIの足音が聞こえてくるようです。
私たちを取り巻く環境の変化がめまぐるしい中で、今のビジネスパーソンはどのように長いキャリアを生き抜くのかというテーマに向き合わざるを得なくなっています。このような背景から今回のビジネス書グランプリのキーワードは「自分らしく選び、自分らしく生きる」としました。
キャリアを真剣に生き、組織が抱える課題を解消していく流れと並行して、個人としての幸福をキャリア以外に求める流れもあります。過去は、キャリアの成功と個人の幸せの2つが同時に達成されやすいものだったように思いますが、現代はそれぞれに個別に向き合う必要があります。
総合グランプリは『部下をもったらいちばん最初に読む本』でした。テクノロジーの進化や労働時間の短縮とハラスメントリスクの板挟みにあうマネジャー層がどう組織を導くのかという課題に正面から向き合った一冊でした。『チームレジリエンス』も同様に現代の組織が抱える困難と不確実性に向き合うマネジャー層が求める作品でした。
『あっという間に人は死ぬから』『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』ではどう個人が幸せを感じられるようにしていくかの指針が描かれました。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が人気を集めているのは、著者による本に対する愛情が描かれていて、慌ただしい現代を生きているからこそ人が読書に救いを求めていることがうかがえます。『となりの億万長者が17時になったらやっていること』は、億万長者を目指す人にとっても、個人として持つ伝統的な美徳の重要さを論じる新鮮さがありました。そして『イシューからはじめよ』の改訂版がイノベーション部門賞を受賞しました。AIを活用してどのようなイシューに取り組むのかは、自律的に動くAIエージェントの時代にこそ求められる内容だと再認識させられました。
10年を彩るビジネス書には『学びを結果に変える アウトプット大全』が選ばれました。インプットとアウトプットを3対7の比率にすべきという主張は、インプットに偏りがちな日本で大きなインパクトを残しています。何度読んでも新鮮な気持ちになれる作品だと感じています。
変化し続ける世の中で、ありのままでいたいと思っても、ありのままでは自分の理想に近づけないものでもあります。今回の受賞作は、キャリアや人生に主体的に前向きに向き合うものばかりでした。時代をとらえ、素晴らしい本を作られる出版業界の方々に、改めて感謝申し上げます。
今年のフェアも、全国の1,300もの書店で展開される段取りになっています。これからの展開も最大限、力を尽くしてまいります。
最後になりましたが、今回の「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」にエントリーしてくださった関係者のみなさま、ならびに本賞の運営にお力添えくださったみなさまに、心よりお礼申し上げます。
毎年多くの素晴らしい本に巡り合えることに感謝と期待の気持ちを込めまして、今年の総括といたします。ありがとうございました。
グロービス経営大学院 教員/株式会社グロービス マネジング・ディレクターの井上陽介さんより、結びのご挨拶です。
井上さん:改めまして、この度は、総合グランプリ・部門賞、そして特別賞を受賞された著者の皆さま、出版社の皆さま、関係者の皆さま、誠におめでとうございます。
本年は、これまでで最も多くの皆様から投票をいただき、明日からの書店フェアでは全国で1,300を越える店舗での展開が予定されています。これは、ビジネス書への関心がますます高まっている証と言えるでしょう。受賞書籍との出会いを通じて、多くの読者の知識がアップデートされ、思考が深まっていることを想像すると、グロービス経営大学院が共催という形でその一翼を担えていることを大変嬉しく思います。
さて、私たちは今、かつてないほどの変化の時代を生きています。テクノロジーの進化、グローバルな不確実性、働き方や価値観の変容。こうした変化が加速するなかで、リーダーに求められる役割も変わりつつあります。
これまでのように、強いリーダーがトップダウンで指示を出すだけでは、組織は持続的に成長することはできません。これからは、周囲と対話し、多様な視点を取り入れながら、組織やチームを導いていく力が求められます。変化の激しい時代だからこそ、一人の決断力だけでなく、周囲を巻き込み、柔軟に道を切り拓いていく姿勢が重要になります。
しかし、そうしたリーダーシップを発揮するためには、前提として自らが変化に適応し、成長し続けることが欠かせません。未知の課題に直面する場面が増える中で、これまでの成功体験や固定観念にとらわれていては、的確な判断や適応は難しくなります。だからこそ、学び続ける姿勢が求められます。
正解が一つとは限らない時代だからこそ、新しい知識を吸収し、試行錯誤を重ねることが不可欠です。そして、知識を得ることが目的ではなく、それをチームや組織のなかでどう活かし、共に考え、行動につなげるか。それこそが、変革を生み出す力となるのではないでしょうか。
本日ご紹介した書籍の数々も、そのヒントを与えてくれるものばかりです。大賀さんのコメントにもあったように、「キャリアや人生に主体的に、前向きに向き合う」ためにも、ここで得た学びをぜひ現場で活かし、新たな挑戦につなげていただければと思います。
最後になりますが、第10回を迎えた本グランプリを支えてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。これからも「ビジネス書グランプリ」を通じて、多くのビジネスパーソンに価値ある書籍を届け、この社会をより良くすることに貢献していければと思います。
以上をもちまして、私の締めの挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
登壇者のみなさま、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
全国1,300の書店と連携して、受賞作品の店頭フェアが順次開催されています。ぜひ手に取ってみてください!